2025/12/17

森へ行く


剣を持って

鏡を持って

弓矢を持って

針と糸を持って

着るものを着て

履物を履いて

これが道具で武器で


剣で石を削って

鏡を覗いて

弓矢で音を奏でて

履物と着物を編んで

針と糸で縫い合わせて

これが道具で武器で


剣で字を書いて

鏡を覗いて

弓矢と針と糸は置き忘れて

とりあえず着物着て

履物履いて

道具と武器はどこよ


剣と弓矢は使えないから

要らないけれど

着物と履物と針と糸だけ

誰かに道具と武器は持たせて


鏡だけでいい人がいて

針と糸も要らないから

着物と履物だけ要るらしくて

何も要らないとは

誰も言っていなくて 

昼寝


かつ消えかつ結びて

記憶を撫でる午睡の夢


部屋の中

破壊された暮らしの

痕跡を訪ね歩く


八年前から洗われぬままの容器に

雑穀を詰め

壊れたまま動き出す時計の針


今日やったこと

大掃除 煤払いを少し 

2025/12/03

 

あの孤独、この孤独と、ただ孤独の隙間や隔たりの大きさが、それぞれ違う。

みんな夢の話をしている。

夢の中からことばを取り出して、誰か何かと分け合おうとする。

でも、拾って貰えずに、多くが隙間から零れ落ちていく。

隙間に落ちて行ったことばは、忘れられていくか、別の何か誰かのところで役に立っていたりする。

ことばを隙間に落とすより、隙間に落ちることばを拾う回数が増えたら、大したものなのに。

2025/08/10

妖精のおばさんの遺言

もしも私が死んでも
私は弱かった
それだけの話

私が弱いならば
何が悪いのか?

「何も要らない」とは
私の思いに無い言葉

それは、誰か
図々しく私の代弁をしたがる人の言葉

それが思いを口走っただけ

それで、私は私の台詞
「たがためぞ」が
「たがために」にすり替えられるようなここに

「Z≠N」と遺す

これこそ自ら「存在」を消す術

私は世に本人意志とは何かと問う

(「Z」と「N」が「もはや同じ」と理解されるようでは、天と地ほどにもこの人とあの人は分断される、これこそが「死」でありましょう。)

2025/06/22

魔法のうた

油でもって
滑りを良くする
自在を得る
繰り返して

肉体は役から放たれ
自在を得た風の暮らし

あてもなく探させ
彷徨い歩かせるのをやめろ
時に
それが必要で
目的ではない

丸と三角と四角を
綺麗に重ねて さあ
あの呪文
巾着袋に入れてある

2025/03/02

惑星直列

夜空を見上げるのか
星を見上げるのか
星が見下げるのか
夜空が見下げるのか
見えるのか
見える気がするのか
見えないのか

2025/02/14

許せないこと

完全でないこと
かたちが整わないこと
中身が揃わないこと
許すこと

幸せになるまで
星の数を数えて
生きる
それすら許されなかったこと