2017/06/01

親の無い子

私が親の無い子だった頃
賽の河原で石を積んでいた
石を積むのは嫌いじゃなかった
積んだ石を崩していく鬼が嫌いだった
鬼さえいなくなれば
ずっと石を積んでいられたのに

私が親の無い子だった頃
親に会うことも望みはしなかった
絶望に飽き足りていた

三途の川の向こう岸を夢見ていた
はやくあっちに行って
ひとりで石を積もうと思った

親の無い子が大きくなって
昨日鬼を倒して彼岸に辿り着いた
親に会うことも望みはしなかったが
石を積むことにも飽き足りていた