2025/12/17

昼寝


かつ消えかつ結びて

記憶を撫でる午睡の夢


部屋の中

破壊された暮らしの

痕跡を訪ね歩く


八年前から洗われぬままの容器に

雑穀を詰め

壊れたまま動き出す時計の針


今日やったこと

大掃除 煤払いを少し 

2025/12/03

 

あの孤独、この孤独と、ただ孤独の隙間や隔たりの大きさが、それぞれ違う。

みんな夢の話をしている。

夢の中からことばを取り出して、誰か何かと分け合おうとする。

でも、拾って貰えずに、多くが隙間から零れ落ちていく。

隙間に落ちて行ったことばは、忘れられていくか、別の何か誰かのところで役に立っていたりする。

ことばを隙間に落とすより、隙間に落ちることばを拾う回数が増えたら、大したものなのに。

2025/08/10

妖精のおばさんの遺言

もしも私が死んでも
私は弱かった
それだけの話

私が弱いならば
何が悪いのか?

「何も要らない」とは
私の思いに無い言葉

それは、誰か
図々しく私の代弁をしたがる人の言葉

それが思いを口走っただけ

それで、私は私の台詞
「たがためぞ」が
「たがために」にすり替えられるようなここに

「Z≠N」と遺す

これこそ自ら「存在」を消す術

私は世に本人意志とは何かと問う

(「Z」と「N」が「もはや同じ」と理解されるようでは、天と地ほどにもこの人とあの人は分断される、これこそが「死」でありましょう。)

2025/06/22

魔法のうた

油でもって
滑りを良くする
自在を得る
繰り返して

肉体は役から放たれ
自在を得た風の暮らし

あてもなく探させ
彷徨い歩かせるのをやめろ
時に
それが必要で
目的ではない

丸と三角と四角を
綺麗に重ねて さあ
あの呪文
巾着袋に入れてある

2025/03/02

惑星直列

夜空を見上げるのか
星を見上げるのか
星が見下げるのか
夜空が見下げるのか
見えるのか
見える気がするのか
見えないのか

2025/02/14

許せないこと

完全でないこと
かたちが整わないこと
中身が揃わないこと
許すこと

幸せになるまで
星の数を数えて
生きる
それすら許されなかったこと

2025/02/01

大黒様の頭陀袋

平安に至る旅の道中の手荷物

大黒様の頭陀袋 中のお品は五つの箱
ここに千の道具が納まっている

ひとつはおもちゃ箱
七福神の宝船 カルタと双六が入っている

ふたつは薬函、クスリ箱
「江戸が悪い」はプラセボ効果の万能薬

みっつ三つ時おやつの箱
中には思い出の干し殺し

よっつは道具箱
箱の中に箱があり 筆箱、裁縫箱、他の道具の箱

いつつに宝箱
中には結婚指輪がふたつ 名入りの指輪で名札になる

宝箱は七福神の宝船に乗せてある

絵柄図柄で彩られた箱の蓋 一瞥で用途が分かる

袋が重いので
七福神のひとりを娑婆に置いていく