2023/07/21

賢い英雄たち

殺されるのが巧いから
たくさん替え玉を用意して
殺され上手になった少尉は
軍曹以下と組んでいる

末端の兵士も少尉の下がいいと言う
少尉の上官どもは恐れ慄く

少尉の配下がみな死んで
当の少尉も巧みに殺された
それでみんなここにいるのさ
誰一人欠けることなく

英雄にもなれないなら
戦争なんかやるものか

妖精あるいは妖怪

ぼくのきらいなものを
全部集めてかたちにしたら
こんな格好になった

ともだちも
きらいなのばかり集めて
ぼくら大嫌いな仲間の仲良しさ

本当に好きなものは
ぼくをまなざしてくれている

2023/06/27

ある日の死神

やわらかなひねくれ
誤魔化しの効かない怒り
波間を漂う藻屑のごとき怠惰
抜け目のない散漫

死はひとりでに訪れない
死を迎えに行かねば
私は生と死を分けない

2023/06/21

生きる意味

あの時の歌の
本当の意味に辿り着くために
世余を経ている

辿り着いたら
「なかま」に教えてやらなきゃ
あの時の歌の本当の意味を

夏至

今日は夏至か
夏至は特別な日だ
奪われた時の代償に
大いなる時を手に入れる
出会えない「なかま」に出会う
「今日は夏至だ」と知らせ
死んだ「なかま」を叩き起こしてやる日だ

2023/05/06

声を持って生まれた
ことばを発した
歌うことができた
だから黙っていないんだ

2022/08/18

詩人の詩

詩人は殺された
たくさん殺された
人は 死ぬために生まれた
人は 死なねばならん
ならば 私は詩を遺そう
どうせ 死ぬのだから
詩は消された
跡形も無く 蘇らぬよう
ことばは砕き散らされ
消え失せたかに見えた
「まただ」と風の声
風の声を聴いたのは 私だけ

天山 からころむ
あむだりや しるだりや