私は生きながらえた、それだけ。
死ななかったのは、偶々。
ここにいるのは、ご縁のゆえ。
いずこに行くか、万物の理に委ねたい。
願いは既に叶えた。
自分の望みについては、忘れていた。
さにあらず、熱きものをもっているかと問われれば、それは私のものにあらずと思う。
しかし、新たな願いがある。
新たな因縁による業を生じさせないこと。
業を滅すること。
熱きものを持たざれば、死ぬるものとして。
死の業を滅するとは、業を滅すれば、死ぬるという。
業を持たざるなら、滅する業も生じない。
業は因縁によって生じるなら、因縁を持たざれば業は生じない。
熱きものは、万物の理によって生じている。
万物の理を心の支えにしている、ただそれだけ。
自分は莫迦だと、今気がついた。
隙間があればどこでも通り抜ける、私は風。
熱きものから生じて、冷たきに流れる。
冷たきところから、熱きに流れる。
風の故郷を思う。
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