2014/03/27

大合唱

狂うことは
歌うことに似ている

社会は
狂っていないこと
もしくは上手に狂うことを要請してくる

自分の声を知らずに
巧く歌っていると信じきって
「自分は狂っていない 狂っているのはお前だ」
と言う大勢の音痴が
寄り添って

大きく音程をはずした合唱団になる

指揮者の腕が良ければ
すばらしいヘタウマの合唱でも

指揮者が狂っているので
あれだ
選曲もヘンだ

2014/03/19

おやすみ

法も制度も
剥き出しの命も
破り打ち砕かれ
もう楯になり得ない

同胞がうざい
仲間が嫌い
こんな奴らと似ている
俺が嫌い
勝手に愛し合ってろ
全部脱ぎ捨てて
お前らなんか
忘れちまうよ

生き抜くために
楯なしで戦い抜ける戦略を

夢みたいなことを
夢のようなことを
夢に見るように
夢に会えるように
おやすみ

2014/03/18

宿題

他人に言われてやる仕事は腹が減るし、眠くなる。
自分の内発的な意思でやる仕事は、腹が減らないし、眠気もない。
何より、やり遂げた充実感が違う。
結局、他人に言われてやる仕事は、経費も、効率も悪いし、人を幸せにしない。
それでも、不幸にしがみつく理由を、ノートに箇条書きにする。

2014/03/15

パンとサーカス

ローマの王様は
ため息をついて言いました

奴隷にパンとサーカスを与えたばかりに
多くの奴隷の子らが
パン屋とサーカス芸人になりたがる

2014/03/12

夢うつつ

誰も彼も夢うつつ

隙だらけの現実に染み込んだ夢が
やがて現実を破壊する

発酵しなかった夢が
見る間に現実を腐らせる

こんなはずじゃ
こんなはずじゃなかった

なのに現実はこうだ
真実はこうだと
夢を押し売り
化かしあっているのに

夢が無い
そんなバカな

目を覚ませ
あんたの節穴の目の前の
この残骸は一体「なぜ」だ

いのちる

自分を殺してまで
他人を生かすとすれば
それ相応の
意味なり理由がないと
はした金では
他人は動かない
いや
動かしてはいかん
はした金くらいで
逆に命を粗末にするなと
私なら言ってやる
私のために死んでくれるな、と
せめて死ぬなら
あなた自身を生きてからにしてくれ

2014/03/02

道具の歌

私は 道具
この社会は ずっと
私の使い方を知らない

私は 楽器
この社会は まだ
私の奏でかたを知らない

私は 文字
誰が 私の意味を
知っているというのか

私は 兵器
扱いがわからないで
これを生かす術など 笑止

私は 便所
「使えません」と
ドアに張り紙を貼ってある

私は ドア
私は 衣服
私は 引き出し

黙っていれば 誰も皆
好きな引き出しをこじ開けて
勝手なものを引き出していく

何ものにもなれない あなたは
可能性か 虚無か

麻痺

痛みがあるならまだしも、麻痺しているんだから、どうしようもない。
そして更に、痛みのある人びとは麻痺してしまいたいんだから。